絶対に分かり合えないという諦め
『この人とは、絶対に分かり合えるはずがない!』と思ったことはないだろうか。親子、恋人、夫婦、はたまた嫁や姑関係など、親しい相手ほど、わかってほしいのに、分かり合えない。何度言っても伝わらないという怒り、イライラもあるかもしれない。もはや、やり取りすることにすら、諦めている人もいるかもしれません。
“この人なら分かってくれる!”と期待でいっぱいで、ラブラブで結婚したのに、いつの間にか『絶対に分かり合えない存在』になっていく。最初は、ケンカをしてやり取りしていても、いつの間にか相手を変えることができず、やりとりをすることすら諦めてしまう。
そんな人もいるかもしれません。
結婚だけでなく、一緒に働いている上司や同僚たちに対しても、分かってもらえない!という諦めを蓄積している人も多いのではないでしょうか。
何でも言い合って、「分かり合えた~~~~!!」とすっきり、感動する!
そんな心の感動は、叶わぬ夢なのでしょうか。
今の時代は、離婚率も多い。結婚したいと思えない若者が増えているという統計データもよく見かけます。分かり合おうとすることはもちろん、関係性への諦めが蔓延している時代ともいえるのではないでしょうか。
なぜ分かり合えないのか?
人は、十人十色。77億みんな、生まれ育った時代、国、地域、家庭環境もバラバラである。それぞれが経験や体験したことも異なる。ならば、皆がみんな見ている画面は異なる。
それでも、人間は、みんな同じ画面を見ているのだと思い込む。好きな人ほど、自分の心を分かってくれるはずだ!と期待してしまう。好きな人であり、長く一緒にいたら、いつかは分かり合える日が来ると信じる。
けれど、言葉を使って、交流すればするほど、人と分かりあうことはできない。いつの間にか最愛の人が、世界一分かってくれない大嫌いな相手になっていくこともあるだろう。
では、本当に人と人が、分かり合うことは不可能なのだろうか。理想論にすぎないのか。ここからは、私がJeiGrid(株)を通して、経験したエピソードをご紹介したい。分かり合えないという諦めを超えて、少しでも分かり合える希望となれば嬉しい。
分かり合えないを理解したとき
先日、1分1秒人間が見ている画面は、本当に違うんだ!とショックが入ったことがあった。実際にあったエピソードをもとにご紹介する。
所属しているプロジェクトを進めている男性(Nさん)は、口数が少ない。
Nさんは、会議で、メンバーたちから「何を考えているかわからない。」「なぜやっていないの!?」と、強い口調で指摘されているように見えた。
そして、Nさんは、メンバーたちの指摘に対して、「わかりました。」「はい。」「ありがとうございます」としか言わない。1回や2回ではなく、たびたびの会議で、彼の在り方は同じように見えた。
私は、Nさんの在り方を見て、心苦しいし、悔しいし、泣けてきたことがあった。Nさんが、ただ従っているロボットのように見えたし、自分の言いたいことを言えない、我慢して従っているように見えた。そして、周りの指摘するメンバーたちが、まるで彼を支配する敵のようにも見えてしまったのだ。
1分1秒本当に観ている画面は違う
長女気質で、責任感の強い私は、Nさんと1:1で話すことにした。Nさんには、信頼があり、熱い部分もたくさん知っていたから、彼の背景に出会いたかったからだ。
その時、私は日ごろNさんに対して感じている本音をぶつけた。「いつも言われたい放題で、悔しくないの?」「どうして主義主張しないの?」など、色々な質問をした。
けれど、Nさんから返ってくる言葉は、一貫して「みんなが自分に言ってくれるのが、ありがたい」だった。何度も、何度も質問しても同じだった。その上、一切メンバーたちのことを悪く思っていなかったのだ。
Nさんは、自分の感情を我慢していなかった。従ってもいなかった。相手の背景も理解して、「わかりました」といっていた。おそらく1時間ほどのやり取りを通して、私の思い込みに気づかされた。
自分の意見が正しいという思い込み
私は、Nさんが我慢して、自分の気持ちを表現できないのだと思い込んでいた。それが絶対に正しいと相当に思い込んでいた。そして、Nさんを守らないと!なんとかしないと!と変な責任感にかられていた。でも、それは勝手な思い込みだった。
私は、家庭教育が厳しい母のもとで育った。子供ながら、あらゆることを頑張ったことを否定されると思い込んでしまった。その思い込みを大前提に、彼を見てしまっていたのだ。だから、Nさんも私のように言いたいことを言えない。我慢しているはずだ。本当は悲しい、悔しいはずだ!と思い込んでいたのだ。でも、全然違う宇宙を見ていたのだ。人間は、1分1秒本当に違う画面を見ているんだ!と、理解させてもらった経験だった。
心の共通土台
これは、私とNさんの例えだけど、みんな全然違う宇宙をみて、日常生活を送っている。今回は、お互いに疎通ができたからいいが、やり取りすることもせずに、心がすれ違うだけの日常を送る人も多いのではないか。本音を無視して、我慢だけを蓄積しているだけの人も多いのではないか。
私とNさんのやり取りは、お互いの信頼の土台で成立した。Nさんは、私の本音のアウトプットに向き合い続けてくれた。0になって聴こうと歩み寄ってくれたのだと思う。
そして、何より互いに『1分1秒本当に人が見ている画面は違う』という正しい理解が土台にあった。だから、この心の共通土台があるうえで、コミュニケーションできたことも大きい(心の共通土台については、デジタルリーダーシップ研修でマスターできるので、お勧めしたい)
そして、何より、JeiGrid(株)の関係主義に支えられている。私とNさんだけでは、向き合うことも難しかった。周りの仲間たちとの関係により、Nさんと向き合うことができた。
私自身も、今までの自分であれば、自分の本音を押し殺し、相手に従って、我慢をする関係をつくっていただろう。でも、いつもJeiGrid(株)の仲間たちは、言葉の奥底にある心にアプローチしてくる。言葉にならなくても、向き合い続けてくれる。本当に美しい仲間、組織に出会えたことに感動してしまう。
心が動き、人が輝く!
今は、コロナの時代ともいわれる。不信や不安が強い時代の中で、相手も状況も環境も変えることができず、この世の中に諦め、命を落とす人も多い。
先日もイジメのニュースで10代の子供が命を落としたニュースを聴き、心を痛めた。科学技術が進歩しても、いかに生活が便利になっても、人間社会の心が傷ついている。これが、誰もが納得せざるを得ない事実であろう。
私たちは、イジメも、自殺もない、心が踊り、人が輝く心の時代を共につくりたいと思う。人間として、生まれたからには、人間とは何か、何をすべきなのか正しく理解する必要がある。だから、これからも人間に必要な教育を、関係主義をまっすぐ発信し続けたいと、心から思う。
今、人と分かり合えなくて、地獄のような日常に、涙している人もいるかもしれない。分かり合えない絶望を理解できる人だからこそ、人間の痛みや苦しみが心の底からわかる高級人材だと思う。絶望を希望へ。新時代をつくるGateを多くの人たちとつくっていきたい。その道を歩みたいと思う。
今回も、JeiGrid(株)のブログを読んでくださり、本当にありがとうございました。
梅雨のじめじめした時期が続いているので、ご自愛ください。